育て方の概要
インゲンには、大きく分けて「つるあり」と「つるなし(矮性)」があります。
つるありは、ツルを伸ばしながら成長しますので立体栽培にします。
(ネットを張るか支柱を立てて、そこに誘引していきます)
草丈は、3mほど伸びるので、緑のカーテンにも最適です。
痩せた土地でも良く育ちます。
施肥は必要ありません。
(施肥はツルボケや虫害、連作障害の原因になります)
寒い地域の在来種などでは、高温下では、実付きが悪くなります。
(花豆などは、高温下では花芽が落ちてしまいます)
そのため、盛夏に開花しないように播種期を選びます。
播種は、寒冷地以外は、4月中旬頃、または、7月下旬頃が良いと思います。
(播種から2カ月くらいで花が咲き始めます)
栽培スペースがある場合は、一度に蒔かずに、時期をずらして播種します。
それによって、その土地に合った蒔き時を見つけることができます。
また、収穫も途切れずに長く楽しめます。
蒔き時 4月中旬~5月上旬/7月下旬~8月上旬(露地直播)
収穫期 初夏から秋(11月くらいまで)
発芽適温 23℃~25℃
生育適温 15℃~25℃
<直まき>
まき床の草を刈ります。
30cm間隔で、1カ所に2~3粒くらいを蒔きます。
深さは、豆の大きさの3倍くらいにします。(人差し指の第一関節を目安に)
土をかけたら、掌でしっかりと押さえます。
本葉が出た頃に2株になるように間引きます。
乾燥しないように刈った草を薄く敷いておきます。
<誘引・摘心・摘果>
伸びてきたツルは、ネットや支柱に誘引します。
ツルが支柱の高さを超えたらツルの先端をハサミで切ります。
猛暑が続くと、実が黒くなってきたり変色してきます。
そういう実は、速やかに摘果します。
<収 穫>
サヤごと食べる場合は、柔らかい若サヤの状態で収穫してください。
(育ちすぎると、サヤが堅くなりスジ取りも必要になります)
また、とり遅れると株の負担が増え、収量も減ります。
完熟豆(煮豆や餡・甘納豆など)にする場合は、サヤが枯れてきた頃に収穫します。
枯れた状態で放置するとカビが生えたり虫が付いたりします。
<完熟豆(乾燥豆)を食す際の注意点>
インゲンの完熟豆は、毒性があり、生で食べると中毒を起こしてしまいます。
炒ったり、低温で煮たりする程度では、返って毒性が増すという報告もあります。
沸騰状態で、5~10分の加熱で毒性は無くなると言われています。
普通は、一晩、水に浸けて柔らかくし、30~40分くらい煮込みます。
なので、一般的な調理の仕方で大丈夫です。
採種の仕方
<選 抜>
母本には、実付きのいい茎葉のがっしりとした生育の旺盛な株を選びます。
サヤが黄褐色になって乾いたものを種として収穫します。
虫食いの無いきれいなサヤを選びます。
豆は、色ツヤの良い、ふっくらとしたものを選別して保存します。
<保 存>
収穫したら天日に1日ほど当ててから数日間陰干しにします。
サヤから取り出した豆は、乾燥剤と一緒にビンなどに入れて、冷蔵庫で保存します。
最初の2日間、冷凍庫に入れるとマメゾウムシなどの卵を死滅させることができます。
その際、乾燥が不十分だと、豆内の水分が凍って豆自体を痛めてしまいます。
※ 雨に注意
雨に濡れると、サヤの中で豆が発芽したりカビたりする場合があります。
(サヤが黄変し、しぼみ始めた時点で、豆は発芽力を持ちます)
雨が心配な場合は、早めに収穫したほうが良いかもしれません。
その場合は、収穫してから、サヤのままで十分に追熟(乾燥)させてください。
(下の写真はササゲ)